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10,000人の写真展

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今回のインタビューは2011年10月に開催された個展「乳白の街」に基づいてお話をうかがいました。
大槻香奈さんが初めての方、知っているけど個展に行きそびれた方は、下記を参照ください。


無意識は意識より強い


「10 years later」
  • 「10 years later」2008年
  •  652×530mm キャンバスにアクリル
  •  ©Kana Ohtsuki * neutron tokyo

当初から少女像を描かれてますが、女の子たちはなぜ制服を着ているのでしょう?

最近は制服でない少女も描いていますが、基本的にはその方が「少女」であることが伝わりやすいからです。

少女像にモデルはいない?

たまに知り合いの方に私からモデルをお願いする事はありますが、基本的にはいないです。モデルさんを使う時も、その人そのものを似顔絵のように描くのではなく、その人から何かしら表現のヒントをもらって描くといった感じです。特定の人物を描こうとはあまり思わないのです。

「女子高生とソーシャルネット」という掛け合わせは今回の個展が初めてでしょうか?

はい、そうです。

ソーシャルネットは意識的に盛り込んだのでしょうか?

全く意識していませんでした。今もそれらを意識してつくっていません。私の場合、先にテーマがどんとあるわけではなく、「これはどういう作品にしていけばいいんだろう?」と考えながら描くというか。
その結果がコンセプトシートなり展示方法に表れているんです。

ギャラリーは1階〜3階まであり、階を進むに連れて少女像が徐々に生身から霊的な(生身感の薄い)ものへと移行し、最終的には少女が消滅するという設定がとられていた。またそれと平行して、1階は「未来」、2階は「現在」、3階は「時間の概念の無い世界」を表現していた。

1階の「かんたん世界」「やみくろのうちゅうにて」といった一連のアニメ風の作品はどういう作品だったのでしょう?

自分の中ではアニメ風に描いたつもりはなかったのですが、結果的にアニメチックだねと言われるような作風になったかもしれません…。それまではリアルタッチといいますか、写実的というわけではないですが、少女の生身感や内面・感情を意識してしっかり描き込んできたので、今回そういった要素が全く無い、簡略化された少女達の絵を見て「作風が変わった!」とびっくりされた方も多いようでした。

  • 「かんたん世界」1
  • 「かんたん世界」2
  • 「かんたん世界」3
  • 「かんたん世界」2011年 1000×1000mm(×3)キャンバスにアクリル、色鉛筆、ペン
  •  ©Kana Ohtsuki * neutron tokyo 撮影(ikuko hirose)
「やみくろのうちゅうにて」
  • 「やみくろのうちゅうにて」2011年
  •  268×380mm 画用紙にアクリル、色鉛筆、ペン、鉛筆
  •  ©Kana Ohtsuki * neutron tokyo

なぜ作風を変える必要があったのかというと、1階のテーマが「自分の思うちょっと先の未来」だった事に理由があります。今回の個展では「乳白の街」というタイトルにもあるように、少女の内面や感情よりも少女をとりまく環境である「街」、ひいては「世界」を描く必要がありました。一人の「少女」ではなく「少女達」がつくる世界を表現するには、絵の中にいる少女一人一人の感情をクローズアップしたものではなく、あくまで大勢の中の一人としてそこにいるという描き方をしなければならなかったので、少女達の繊細な表情はあえて見せずに記号的に簡略化して描きました。

「ちょっと先の未来」とは?

私が考えているのはただ単に「明るく平和な未来」というわけではありません。一階の展示では、現実にある問題を踏まえつつそのうえで何かしらの未来への希望を見出したい、描きたいと考えていました。単純に明るく平和な世界を願う事自体が私にとっては苦しかったりする。社会的な、何か大きな一つの問題が解決する事でいずれまた新しい問題が生まれてきて…というのはもう永遠に繰り返されるものだから、じゃあそういった本質的に変わらないものを目の前にして、私たちはいつも何に希望を見出して生きていけばいいのか…という事を考えた結果、最終的にはやっぱり「人」そのものにあるんだなという結論に達しました。自分が誰かの希望になっていく事と、自分の希望を誰かに託していくという事。「かんたん世界」では色んなテーマを持って制作に臨みましたが、一つはそういった「人との関係性から生まれる希望」の連鎖反応で今を生きていくしかないというか、そうやって生きていきたい、という思いを表現しました。

希望で思い出すものといえば…私は「魔法少女まどか☆マギカ※1(以下「まど☆マギ」)というアニメが大好きなのですが、自分が絵画でやろうと思っていたことをこのアニメがやっていた、やられてしまった…と勝手に思っていて。この作品からは個人的に「最後は人が希望になりうる」という事を感じさせてくれる。主人公まどか※2は何もないところから魔法少女になって世界を救ったわけではなく、友人であるほむらちゃん※3の献身に気付くことで目覚めたという、その二人の関係性には、自分がこれまで少女を通して描こうとしてきた理想の人間の在り方に近いものを感じました。

※1魔法少女まどか☆マギカ…シャフト制作によるテレビアニメ作品。2011年1月から放送開始、震災による中断を挟んで4月に放送終了。たんなる魔法少女ものではなく、シリアスかつ全く先の読めないストーリー展開で、アニメという枠を超えて幅広い話題を呼んだ。また社会学者の宮台真司など多くの知識人も挙って評価している。
※2まどか…鹿目まどか。「まど☆マギ」の主人公。心優しく友達想いだが自分を何の取り柄もない人間だと考えている。「誰かの役に立てるようになりたい」という夢を抱いている、中学2年生の少女。
※3ほむらちゃん…暁美ほむら。主人公のまどかに対して、謎めいた警告と助言を繰り返す魔法少女。その内面や過去などの秘密が明かされていくと共に、印象が二転三転していく登場人物。


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