伝統の和柄と色の組み合わせ　～ひな祭りや入学、卒業式のデザインに～

春はひな祭りや入学・卒業式など行事が多い季節です。春の雰囲気をデザインに取り入れるときに和柄や日本の伝統色を上手に組み合わせることで、より魅力的なビジュアルが作れます。

本記事では、縁起の良い和柄と春にふさわしい和の伝統色を紹介し、デザインに活かせるアイデアを紹介します。

春にぴったりな縁起の良い和柄

和柄には、それぞれ意味が込められた伝統的な文様があります。デザインに取り入れることでより意味を強調できます。 ここでは、春をテーマに縁起の良い和柄を紹介します。

桜（さくら）

意味：門出・美しさ・日本の象徴
春の代表的な花で、卒業式・入学式・ひな祭りなど、春のイメージに欠かせないモチーフです。
5花弁で用いたり、桜の花びらだけで使うのもよく見かけます。

梅（うめ）

意味：高潔・忍耐・春の象徴
冬の終わりごろから春の訪れを先告げるように咲く梅もぴったりです。 寒い冬を耐えて咲くことから、忍耐力、生命力を象徴します。紅白での縁起良い組み合わせとして古くから親しまれており、 成人式、結婚式などでもよく見かけます。

七宝（しっぽう）

意味：円満・調和・ご縁
円が連なる幾何学模様で人との繋がりや円満な関係を象徴しています。 丸い形が四方に連なることから、「四方（しほう）」となり転じて「七宝（しっぽう）」になったとも言われています。 七宝とは仏教で金、銀、真珠、瑠璃（るり）、瑪瑙（めのう）、珊瑚、水晶の宝物を指します。 また円が途切れずに連なる様子が人との縁を表しています。

麻の葉（あさのは）

意味：魔除け・成長・繁栄
正六角形で構成される幾何学模様で、規則的な繰り返しが美しい柄です。麻の葉は神事に使われる他、成長が早い様子から魔除けや成長の象徴になりました。赤ちゃんの産着にも使われることもあり、星のような形なのでワンポイントにも柄にも使えます。

青海波（せいがいは）

意味：平穏・未来永劫の幸せ
半円を重ねた波模様で、穏やかな日々が続くよう願いが込められています。千鳥と合わせた「波千鳥（なみちどり）」は渡り鳥のような力強さ、順風さを表します。

市松（いちまつ）

意味：繁栄・継続
チェック柄のような模様。江戸時代の歌舞伎役者・佐野川市松が愛用したことから広まった歴史があります。柄が途切れずに広がっていく様子から繁栄、継続、拡大を表します。2色の四角を並べたシンプルな柄なので他の柄や模様と組み合わせを楽しんだりできます。

矢絣（やがすり）

意味：前進・縁起の良さ・魔除け
矢羽根を連ねた模様。矢は一度放つと戻らないことから、旅立ちの門出や卒業のシーンにぴったり。また、矢が真っ直ぐに進む様子から成長や前進といった願いが込められています。「嫁入り道具に矢絣柄の着物を持たせると出戻ってこない」という言い伝えがあるほど、力強い願いが込められています。

千鳥（ちどり）

意味：勝負運・旅の安全、円満、招福
鳥が群れをなして飛ぶ姿をモチーフにしており、前に進む力強さを表します。千鳥は雌雄そろって子育てをする習性があり、夫婦円満の象徴となります。その名から「千（の福を）とる」とも繋がり、なんともおめでたい柄です。

菱柄（ひしがら）

意味：繁栄、豊穣、幸運、感謝、無病息災
菱の形を連続させた柄で、水草の「ヒシ」に似ていることが由来になります。
ヒシの形や繁殖力の強さから、繁栄、豊穣を表し、四方を固めるという意味から、邪気を払う、無病息災の願いが込められています。 礼装や結婚式でもよく見かける柄です。

春にぴったりな伝統色

日本には、四季折々の風景や文化を反映した美しい伝統色があり、春にぴったりの色も豊富に揃っています。やわらかく華やかな色や、格式を感じる深みのある色を上手に使うことで、デザインの印象がぐっと引き締まります。

桜色（さくらいろ）

春を代表するカラーで、淡いピンクが優しく、穏やかな雰囲気を表現できます。

桃色（ももいろ）

ひな祭りを象徴する色で、華やかさと可愛らしい印象になります。

鴇色（ときいろ）

鴇の羽のような優雅で上品な色。ひな祭りや春の和装にぴったりです。

紅梅色（こうばいいろ）

紅梅のような紫がかったピンクで、大人っぽさも兼ね備えた色。平安貴族の時代から愛される色です。

藤色（ふじいろ）

上品で落ち着きのある紫色。高級感のあるデザインにもよく使われます。

刈安色（かりやすいろ）

古くから染料として使われた「刈安」という植物に由来する、明るい黄緑がかった黄色です。

若草色（わかくさいろ）

新芽を思わせる黄緑色で、フレッシュで清々しい色です。芽吹く、成長、若さや元気さの印象があり、春の雰囲気にぴったりです。

青磁色（せいじいろ）

淡い青緑色で、品があり爽やかな雰囲気を演出。神秘的な色合いから別名秘色（ひいろ、ひそく）とも呼ばれます。

常盤色（ときわいろ）

松の葉のような深い緑色。「常盤」とは変わらないという意味です。

浅葱色（あさぎいろ）

やや緑がかった薄い青色。江戸時代には武士の羽織にも使われ、爽やかで洗練された色です。

瑠璃色（るりいろ）

瑠璃とはラピスラズリのこと、深く鮮やかな青色。仏教では七宝の一つで最上の青と言われています。

紺青（こんじょう）

飛鳥時代に「金青（こんじょう）」という名前で中国から伝わったとされる深みのある青で、シックな印象を与えます。

和の柄と色の組み合わせアイデア

ひな祭りのデザイン

桃の節句のひな祭りは女の子の健やかな成長を願う節句です。円満や繁栄、成長などを表すものを使うと、より願いの意味を込めやすくなります。

おすすめの組み合わせ
柄：七宝、市松、菱、梅
色：桃色 × 若草色 × 藤色
　　桃色 × 紅梅 × 常盤色

卒業式・入学式のデザイン

春といえばでイメージする人もいるのではないでしょうか？学校や就職など、成長を祝うような柄や人の縁の広がりを表すようなものを使うのがオススメです。

おすすめの組み合わせ
柄：矢絣、千鳥、桜
色：藤色 × 桜色 × 紺青

まとめ

和柄や伝統色を組み合わせることで、春らしく華やかな和のデザインが作れます。ひな祭りや卒業式などのイベントに合わせて、色や柄を選びながらデザインを楽しんでみてください！